「医療保険に入らないと、入院した時に数百万円請求されるかも…」「働けなくなったら、家族が明日から路頭に迷うかも…」
保険の営業マンやネットの広告は、常にあなたの不安を煽ってきます。 しかし、ちょっと待ってください。
あなたは毎月、給与明細を見てため息をついていませんか? 「税金と社会保険料が高すぎる!」と。
実は、その高い社会保険料こそが、あなたが既に加入している世界最強の保険の掛け金なのです。
多くの人はこの公的保険(社会保険)の凄さを知らずに、必要以上に不安に駆られて民間保険を二重払いしています。それは、定食を頼んでご飯と味噌汁がついているのに、別料金でライスとスープを注文するようなものです。

この記事では、あなたが既に持っている3つの最強の盾(公的保障)を解説します。 これを知れば、なぜ民間保険は最低限(不足分の穴埋め)だけでいいのか、その理由がしっかりと理解できるはずです。
民間保険はメインではない。トッピングに過ぎない
保険選びで失敗する最大の原因は、公的保険を無視して、ゼロベースで民間保険を検討してしまうことです。
当たり前ですが、正しい保険設計の公式はこうです!
必要な保障額 - 公的保険でカバーできる額 = 民間保険で補うべき額
つまり、公的保険がどこまで守ってくれるかを知らなければ、そもそも民間保険をいくら買えばいいのか計算することすら不可能です。ここからは、サラリーマン(厚生年金・健康保険加入者)が守られている3つの盾を見ていきましょう。

【盾1】高額療養費制度:医療費は「青天井」ではない
「ガンで手術をしたら、300万円かかった。保険に入っていなかったら破産していた」 これは、保険を売るための常套句ですが、半分嘘です。
日本の公的医療保険には、高額療養費制度という最強のセーフティネットがあります。
これは、どれだけ医療費がかかっても、ひと月に支払う自己負担額には上限があるという制度です。 一般的な年収(年収約370万〜770万円)の会社員の場合、仮に医療費が月100万円かかったとしても、実質的な自己負担は月額約9万円弱です。
- 手術費・入院費の総額:100万円
- 窓口での支払い(3割負担):30万円
- 高額療養費制度適用後の実質負担:約87,430円 (※差額ベッド代や食事代は除く)
つまり、日本に住んでいる限り、医療費で破産することは構造上、ほぼあり得ないのです。ある程度の貯蓄(100〜200万円程度)があれば、民間の医療保険は不要という専門家が多いのは、この制度があるからです。
保険の営業マンがよく使う反論トークに、「高額療養費制度は、あとからお金が戻ってくる制度だから、一時的に窓口で大金を払わないといけませんよ?そのための現金はありますか?」というものがあります。
『窓口での一時的な支払いが心配…』という方も安心してください。限度額適用認定証という魔法のカード(事前に申請すれば無料でもらえます)を提示すれば、窓口での支払いそのものが自己負担の上限額(約8万円など)で止まります。つまり、一時的な立て替えすら不要なのです。
【盾2】傷病手当金:働けなくなっても給料は止まらない
「入院が長引いて、給料が止まったら生活できない…」 そんな不安のために就業不能保険を勧められることがあります。
しかし、会社員には傷病手当金があります。
病気や怪我で会社を連続して休み、給料が出ない場合、給料(標準報酬月額)の約3分の2が、最長で1年6ヶ月間支給されます。
- 月給30万円の人の場合:毎月約20万円が支給
しかも、傷病手当金は非課税です。社会保険料はかかりますが、手取りベースで見れば、現役時代の6〜7割程度の収入は確保されるケースが多いです。
1年半あれば、治療に専念して復職するか、あるいは生活をダウンサイズして立て直す時間は十分にあります。 即座に生活が破綻するわけではないのです。
就業不能保険は、自営業やフリーランスの方には価値があるかもしれません。ただ、多くのケースでは、就業不能状態から60日間等の一定期間は給付金の支払対象外とされているケースが多いです。その場合、「盲腸で入院した」とか「骨折で1ヶ月休んだ」レベルでは、1円も出ない設計になっています。また、うつ病等の精神疾患は保障対象外となるケースが多いなどといったケースも一般的です。こういったことを説明せずに、ただ不安を煽って契約を勧める悪徳なFPや保険販売員には本当に注意してください!
【盾3】遺族年金:あなたが死んでも国が家族を支える
「私が死んだら、残された家族には1円も入らない」と思っていませんか? あなたには遺族厚生年金と遺族基礎年金という、強力な死亡保障がセットされています。
例えば、18歳未満の子供がいる会社員が亡くなった場合、残された家族には国から毎月十数万円〜(加入期間や年収による)の年金が支払われます。詳細のシミュレーションは割愛しますが、年収600万円の夫(妻と小学生の子供2人)が死亡したケースを考えると、月額約16万円が支給されることになる見込みです。しかも、遺族厚生年金と遺族基礎年金は、原則非課税です。
これはいわば、国が運営している強制加入の死亡保険です。
民間保険の死亡保障(収入保障保険など)を検討する際は、いきなり3,000万円などと決めるのではなく、生活費から、この遺族年金分を差し引いた不足分だけを補えばいいのです。
そう計算すると、必要な保険金額は驚くほど少なくて済むはずです。
民間保険を提案する際に、遺族年金の存在を完全に無視して高額な保険に入るように提案してくる悪徳なFPや保険販売員は一定程度います。遺族年金は、本来、我々の保証の根幹をなすものです。これを無視して提案された場合、そんなFPや保険販売員とは絶対に契約をせず、断固として提案を断ることを強く勧めます。
結論:まずは給与明細を見直そう
保険の営業マンと会う前に、まずは自分の給与明細を見てください。 そこには、安くない金額の健康保険料と厚生年金保険料が引かれているはずです。
あなたは決して無防備ではありません。すでに日本で一番コスパの良い、最強の保険に加入済みです。
- 医療費は月9万円程度で止まる
- 働けなくても1年半は傷病手当金である程度はカバーされる
- 夫が死んでも、妻と子供達には国から遺族年金が出る
まずはこの公的保障を正しく理解してください。 民間の保険を検討するのは、それでもなお足りない部分が見つかってからで十分です。では、その足りない部分とは何か? 多くの家庭にとって、それは子供が独立するまでの間の、万が一の時の生活費(+教育費)の不足分だけです。
次の記事では、唯一加入する価値のあるコスパ最強の民間保険である収入保障保険(三角の保険)について解説します。

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