「ゆとりある老後には、月々39万円が必要です」
保険の窓口や銀行で、こんな数字を出されたことはありませんか?
この月39万円という数字は、金融業界が自社商品を売るために作り出した、ただの不安商法です。
本記事では、この数字のカラクリを徹底検証。悪質な煽りに惑わされず、あなたにとっての本当のゆとりを定義するための思考法を伝授します。
恐怖のデータ 月額39.1万円 の正体
金融機関の営業マンが頻繁に見せてくる、「月39.1万円」という数字。この出典は、公益財団法人 生命保険文化センターが発表している「2025年度 生活保障に関する調査」です。
最新のデータでは、老後の夫婦の生活費として、以下で発表されています。
- 「最低」日常生活費:月額 23.9万円
- 「ゆとりある」老後生活費:月額 39.1万円
営業マンは言います。「最低限の生活でも24万円、たまに旅行に行ったり孫にお小遣いをあげる『ゆとりある生活』には39万円も必要なんです」と。
数字だけ見れば、確かに不安な気分になります。しかし、ここで考えてみてください。そもそも、誰がこの調査を行なっているのでしょうか?
犯人は「生命保険文化センター」
調査を実施している団体の名前に注目してください。生命保険文化センターです。
名前の通り、この団体は生命保険業界によって運営されています。彼らの存在意義、そして彼らのビジネスモデルとは何でしょうか?
それは、「年金だけでは足りない」と人々を錯覚させて、民間の保険を買わせることです。
もし、この調査で「老後は年金だけで暮らせます」なんて結果が出たらどうなるでしょうか? 誰も高い手数料を払ってまで、個人年金保険や外貨建て保険なんて契約しません。
つまり、このデータは中立的な統計ではなく、国民に老後が不安だと思わせるための、業界ぐるみのポジショントークだと認識する必要があります。
「老後資金が足りない」という報道の裏には、メディアの歪んだビジネス構造が隠れています。
テレビや新聞の主要スポンサーを見てください。並んでいるのは大手銀行、証券、保険会社ばかりです。メディアにとって彼らは、口を出せない絶対的な権力者に他なりません。
不安を煽る報道とスポンサー商品のCMは、巧妙に設計されたセットです。オールドメディアが映し出す危機感は、事実の伝達ではなく、スポンサーの商品を売るための演出に過ぎないのです。
なぜこの数字はデタラメなのか?
また、この調査は、調査のプロセス自体も不安を煽るように設計されています。調査に際して、調査員が自宅を訪問する面接聴取法という手法をとっていますが、聞き方に致命的なトリックがあります。
トリック①:18歳に老後を聞いている

この調査の対象者は、全国の18歳〜79歳の男女です。 まだ働き始めてもいない18歳の若者や、バリバリ現役の30代・40代に対して、「老後はいくら必要だと思いますか?」と聞いているのです。
まだ見ぬ老後について、現役世代が答える金額。それは、ただの想像でしかありません。
トリック②:願望を積み上げた数字

さらに、具体的な質問の仕方が問題です。この数字は、以下の2段階の質問で構成されています。
① 「最低限いくら必要と考えますか?(想像)」
→ 結果:平均23.9万円
② 「いくら上乗せしたいですか?(願望)」
→ 結果:平均15.2万円
この2つを足して「39.1万円必要です」と言っているのです。「毎日高級なものを食べたい」など、そんな理想の上乗せ額(月15万円)を、生活費の必須ラインのように語るのは、あまりに乱暴な手口だと思いませんか?
総務省のデータが示すリアルな家計簿
では、実際の高齢者たちはいくらで生活しているのでしょうか?これを知るには、総務省が発表している家計調査を見るのが一番です。これは実際に家計簿をつけてもらった実績データです。
これによると、無職の高齢夫婦世帯の実支出(平均値)は、月額 約23万円〜25万円程度です。
さらに低い中央値の現実

ここで一つ注意が必要です。平均値(約25万円)というのは、一部の富裕層が数値を引き上げているため、一般的な実感よりも高くなる傾向があります。
私たち一般庶民の感覚に近い中央値(真ん中の人の支出)で考えると、実際の支出は月20万円〜22万円程度に収まっていると考えられます。
これが日本の老後のリアルです。「ゆとりある生活費(39万円)」との差額、約17万円〜19万円はどこへ消えたのでしょうか? 答えは簡単。そんなに使わなくても、みんな普通に幸せに暮らしているということです。
【対策】妄想ではなく親を見ろ

これから老後資金を考えるあなたがやるべきことは、メディアの数字を忘れることです。そして、もっと確実でリアルなサンプルを見てください。それは、あなたのご両親です。
ご両親が今、月いくらで生活しているか、聞いてみたことはありますか?一度聞いてみれば、「うちは平均で月20万円ちょっとかな」といった、地に足のついた答えが返ってくるはずです。
その金額こそが、あなたの将来の生活水準の真の目安になります。
不安なら、その差額だけ埋めればいい
もし、ご両親の生活費を聞いて、年金(20万円)だけでは少し足りないなと分かったら、その相当額だけを準備すればいいのです。架空の煽りの数字で不安になるのはやめましょう。
今回で、老後の支出(39万円の嘘)について解説しました。次回は、いよいよ収入(年金)の真実に迫ります。
「モデル世帯の年金は月22万円」というニュースを信じてはいけません。年金額こそ、家庭によって天と地ほどの差があります。 次回、あなた自身の年金予定額を知る方法(ねんきんネット活用法)を解説します。

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