【富裕層の真実】なぜ高い手数料を払う?対面証券だけの「特権」

「投資信託を買うなら、ネット証券でオルカン一択」「証券会社の窓口には近づくな。ゴミを売りつけられるぞ」

SNSを開けば、こうした「対面証券(大手証券や銀行)=悪」という論調を頻繁に目にします。「情弱なお年寄りが、笑顔の営業マンに高い手数料を献上しているだけ」と、散々な言われようです。

正直に申し上げます。確かに、ひと昔前まではその批判は、概ねその通りでした。

しかし、現代の実態はだいぶ違います。業界の健全化により、そういった搾取は減りつつあります。そして何より、もしあなたの金融資産が数千万円(3,000万円〜5,000万円以上)を超えてきたなら、話は根本から変わります。

ここから先は、対面証券=情弱という常識が通用しない世界です。世の中の富裕層や投資上級者の多くは、ネット証券だけでなく、あえて手数料の高い対面証券(野村、大和、みずほ、日興など)ともお付き合いをしています。

彼らは、ただ高い手数料を献上しているわけではありません。その手数料を必要経費として支払い、その見返りに一般人には回ってこないプラチナチケット(IPO/PO)を受け取る。そんな大人のバーター取引を成立させ、手数料以上の利益を賢く回収しているのです。

この記事では、資産が増えた人だけが参戦できる、ネット証券の「運ゲー」とは別次元の、対面証券の攻略法について解説します。

目次

ネット証券のIPOは宝くじ。対面のIPOは配給

なぜ、富裕層は対面証券を使うのか。その最大の理由はIPO(新規公開株)へのアクセス権です。上場した瞬間に株価が跳ね上がることが期待できるこのプラチナチケットを、公募価格(定価)で手に入れることができれば、極めて高い確率で大きな利益が出ます。

しかし、SBI証券や楽天証券などのネット証券では、IPOは完全抽選(運ゲー)です。それは、主幹事(メイン担当)となる大手証券会社が配分枠の9割近くを握っており、ネット証券に回ってくるのは残りのわずか数%のおこぼれに過ぎないからです。

対面証券にある裁量配分というルール

一方、その主幹事となる大手証券会社の対面取引(支店)には、裁量配分というルールが存在します。

これは文字通り、「支店に入ってきたIPO株を、支店長や担当者の裁量(判断)で顧客に配分する」というものです。 もちろん、現在は公正な配分ルールが厳格化されていますが、それでも日頃から取引実績があり、自社の利益に貢献してくれている顧客(=お得意様)に優先的に案内がいきやすいのは、ビジネスとして当然の理屈です。

つまり、運任せの抽選ではなく、支店への貢献度に応じて、プラチナチケットが回ってくる確率を高めることができるのです。

「オルカン」は買えない。それでも対面を選ぶ理由

ただし、対面証券の口座を開いても、ネット証券でお馴染みの「eMAXIS Slim 全世界株式(手数料0.05%)」のような超優良・低コスト商品は買えません。インデックスファンドを選んでも、選択肢がネット証券と比べて少ない上に、手数料も若干割高になっているケースが大半です。

通常の感覚なら、「そんなコストの無駄、誰が買うか!」と怒って帰るところでしょう。 しかし、ここで手数料=IPOをもらうための入場料と割り切れるかどうかが、富裕層への分かれ道です。

計算してみると分かりますが、IPOをコンスタントに貰えるなら、支払った手数料など誤差の範囲になり、トータルのリターンはオルカン一本を遥かに凌駕します。

【IPOだけではなく、POもオススメです!】

IPOの陰に隠れがちですが、PO(公募増資)も対面証券のメリットです。これは「上場企業の株が、市場価格より3〜5%オフで買える割引セール」のようなもの。IPOほど派手ではありませんが、勝率が高く、堅実なリターンが見込めます。

富裕層は、こうした歪みを取るためにあえて高い手数料というコストを負担しているのです。

【注意】移管はOKだが、セコい真似は禁物

対面証券と付き合うには、ある程度の資産規模が必要です。そこで有効なのが、ネット証券で積み上げてきた「オルカン」などを、対面証券へ移管させる方法です。これは、支店の預かり資産残高も増えるため歓迎されます。ここまでは戦略としてアリです。

しかし、決して推奨しないのが、手数料を惜しむあまりの「セコい資金移動」です。

  1. 対面証券の口座から現金をネット証券に出金する
  2. ネット証券で(手数料無料の)投資信託を買う
  3. それをまた対面証券に移管する

このように、「お宅で買うと手数料がかかるから、よそで買って持ってきたよ」というスタンスはご法度です。担当者からすれば、「手間だけかけさせて、全く手数料を落とさない客」と見なされます。

すでに持っている資産を移すのはOK。しかし、これから投じる資金については、素直にその証券会社が扱う商品を買う(手数料を落とす)。この仁義を通せない人は、対面証券の扉を叩くべきではありません。

手数料は関係維持費である

この戦略の本質は、ギブ・アンド・テイクです。証券会社はボランティアではなく、収益(手数料)を稼ぐことが最も重要な使命です。あなたが投資信託を買ったり、担当者から提案された株の売買をして手数料を落とす(ギブ)。 その見返りとして、彼らは「いつもお世話になっている〇〇様に、今度のIPOを回そう」と便宜を図る(テイク)。

これが、暗黙の了解として成立しているバーター取引です。ネット証券しか知らない人は「ぼったくりだ!」と騒ぎますが、彼らは手数料の対価として「優先配分の権利」を買っているのです。この手数料=関係維持費という感覚を持てる人が、対面取引の勝者になれます。

この「ネットには落ちていない利益(金脈)は、信頼関係の中に流れる」という真理については、以下の記事で詳しく解説しています。 対面証券との付き合い方は、まさにこの記事の実践編と言えます。

【コラム】バレてますよ。「IPOイナゴ」の末路

超人気の大型IPO(例:東京メトロなど)のニュースが出ると、主幹事証券の窓口には「今回のプラチナチケットだけ配分してもらって、利益が出たら即座に売ってトンズラしよう」という下心満載の人々が殺到します。

はっきり言いますが、証券マンはプロです。 本当に末長く関係を築くつもりなのかどうかなど、一瞬で見抜かれます。 もし運良く初回だけ配分をもらえたとしても、即座に「相手にしない客リスト」行きとなり、二度と電話は鳴らなくなります。

攻略法:対面証券に良い客と認定させるには

では、対面証券と良好な関係を築くにはどうすれば良いか。最低でも以下の条件が必要です。

① 種銭を見せる

最低でも1,000万円、できれば3,000万円以上の資産を預け入れるのが望ましいです。対面証券の口座開設を申請して、ネット専用コースを案内されたら、事実上のお断りと解釈して諦めましょう。

損も受け入れる(お付き合い)

美味しい話(美味しい話)だけ欲しがる客は嫌われます。時には、証券会社が売りたがっている投資信託や債券もお付き合いで買ってあげて、貸しを作るのが良いでしょう。もちろん、大きな損をする必要はありませんが、多少の手数料は交際費と考えます。

PO(公募増資)で実績を作る

IPOほど競争率は高くありませんが、数%のディスカウントで株が買えるPO(Public Offering)などを積極的に引き受け、「私は御社の利益に貢献する客ですよ」とアピールします。

結論:資産が数千万円を超えたら大手証券会社をノックせよ

資産が少ないうち(〜1,000万円)は、迷わずネット証券でオルカンを積み立ててください。対面証券に行ってもインターネット専用コースを案内されて終わるだけです。

しかし、資産が3,000万円、5,000万円と増えてきたら、次のステージが見えてきます。ネット上の「手数料無料こそ正義」という初心者向けの正論を卒業し、あえて手数料を払い、それ以上のリターン(特権)を回収するという富裕層のゲームに参加する権利が生まれるのです。

もしあなたが準富裕層の入り口に立っているなら、一度、大手証券会社の支店を訪れてみてください。 そこには、ネット画面には表示されない別の世界が広がっています。

【大手証券会社はどこがオススメ?】

こればかりは、どこがオススメとは一概に言い切れません。野村證券・大和証券・みずほ証券・SMBC日興証券・三菱UFJモルガン・スタンレー証券と、どの会社にもカラーがあって、得意や不得意の分野が存在しています。資産が十分に増えてきたら、気になった証券会社の最寄りの支店を訪問して話を聞いてみて、その上で最終的に決定するという方法で十分でしょう。

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この記事を書いた人

教育資金デザインラボ代表。元日系投資銀行(IBD)出身のFP兼宅建士。
「お金の世界は嘘ばかり」という信念のもと、ポジショントークを排除した『数字に基づく資産形成術』を発信中。早大理工・英国大学院修了。都内で2児(2歳・0歳)を育てるパパ経営者。

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