「うちは共働きで世帯年収1,500万円あるけれど、子供の将来を考えると正直不安だなぁ……」
都内在住、メーカー勤務の30代夫婦がつぶやいた一言。傍から見れば勝ち組に見える彼らですが、その内心は穏やかではありません。
そして、彼らには本音で話せる相談相手がいません。同僚や友人にお金の不安を吐露すれば自慢と受け取られかねない。かといって、一般的なFPに相談しても、「食費を削りましょう」「ラテマネーを削りましょう」「保険を見直しましょう」といった、当たり前の節約論を説かれるだけで、根本的な解決にならないことを知っているからです。
「子供の可能性を最大化するために、あえて高い教育費を払いたい」そう願う高年収家庭にとって、平均的な家計簿をベースにした一般論のアドバイスは視座が合わず、参考にならないケースがほとんどなのです。
当サイト教育資金デザインラボには、そんな行き場のない危機感を抱えた、高年収世帯からの連絡が数多く寄せられています。
今回は、高年収世帯だけが直面する見えない壁と、私たちが向き合うべき資産形成のリアルについてお話しします。
「たまひよ」の話が噛み合わない理由
子供が生まれると、多くの人が育児雑誌(たまひよ等)やネットの節約記事を目にします。そこには「年収300万円台からのやりくり術」や「月3万円でやりくりする食費」といった類の特集が組まれています。
それらを読んだ時、あなたはこう感じたことはありませんか?「…これ、うちの家計とは違いすぎて、参考にならないな」
それは決して、あなたの金銭感覚が狂っているわけではありません。そもそも、マス向けのメディアや一般的なFPのアドバイスは、「日本全国のあらゆる家計」をターゲットにしており、平均よりも厳しい家計状況(世帯年収300万円台など)でも実践できる節約術がベースになっていることが多いからです。
公立校進学や地方在住を前提とした万人に受け入れられるコンテンツが、教育熱心で子供たちをしっかりと大学(院)まで送り届けようとしているあなたの家庭事情と噛み合わないのは、ある意味で仕方のないことなのです。
平均的な節約術を真似しても、私たちが目指す子供の選択肢を最大化する教育の資金は作れません。私たちは、別のルールで戦う必要があります。
教育資金デザインラボ「独自調査」の全貌
では、現実はどうなっているのか。 当ラボでは、一般的な統計データではなく、教育熱心な家庭の実態に即したデータを得るため、2025年に独自のヒアリング調査を行いました。
本記事および、今後紹介するシミュレーションは、すべて以下の調査データに基づいています。
【調査概要】
- 調査対象:当ラボへの相談者および紹介等によるヒアリング実施家庭
- 有効サンプル数:33件
- 属性:
- 世帯年収900万円以上
- 子供は2人(調査時点で子供は主に高校生)
- 公立小から私立中高一貫校へ進学(中学受験経験)した家庭
- 調査項目:未就学児・小学校・中学校・高校の各ステージにおける生活費の推移
- エリア:主に東京23区の郊外エリア
- 家計意識:「将来に経済的な不安を感じており、普段から節約を意識している」と回答した家庭のみ
- 除外条件:
- 都心の富裕層(価格を見ずに消費する層)
- 節約志向とは思えない家庭(当ラボの判断)
- 経営者等で、一般的な給与所得者と税制条件が大きく異なる家庭
ここで強調したいのは、本調査の対象は、湯水のようにお金を使う富裕層ではないということです。むしろ、あなたと同じように「将来のために無駄遣いは避けたい」「特別な贅沢はしていないつもりだ」と考えている、堅実なご家庭のリアルなデータです。
調査で見えた「不都合な真実」
集計の過程で、私たちは恐ろしい事実に直面しました。世帯年収1,000万円を超えるご家庭の多くが、正確な支出額を把握していなかったのです。
「食費はたぶんこれくらい…」「カードの引き落とし額は把握していない…」
ビジネスでは数字に強いはずの方々が、家計となると途端にどんぶり勘定になる。この使途不明金こそが、高年収世帯を破綻させる原因の一つです。
これから年代別のコストを見ていく前に、まずはこの「見えない穴」を塞がなければ、いくら稼いでも水は貯まりません。その衝撃の調査結果の概要は、以下で公開しています。

年収1,500万世帯でも貯金ゼロ!?
日頃から薄々と分かってはいましたが、調査の結果で改めて分かったことは、世帯年収900〜1,000万円の家庭よりも、1,500万円の家庭の方が貯蓄スピードが遅いというケースが多々あるという事実です。
収入が倍近くあるのに、なぜお金が残らないのか?年収1,500万円の家庭の多くは、無意識のうちに生活の基礎代謝が上がってしまっています。
- 住居:人気エリアの広めのマンション(高額ローン・管理費)
- 教育:習い事は3つ以上、個別指導塾も併用
- 食事:週末の家族の外食
- 交際:友人レベルに合わせたレジャー費
上記は、どれも重要な支出です。「レジャー費や外食を削れ」と言うのは簡単ですが、周囲の家庭が週末を家族で満喫している中、自分の子供にだけ惨めな思いをさせたくないと思うのは親心です。更に、子供が小さいうちに可能性を広げることは何より重要なので、特に子供が楽しんで通っている習い事を削るという選択肢は、非常に考えにくいというのも当然のことです。
しかし、これらが積み重なり、見かけの年収は高いが、毎月の収支はトントンという状態に陥っています。
子供をしっかりと大学(院)まで送り届けるために重要なのは、年収の高さだけではありません。世帯年収が高くても、今を充実させながら将来の大学費用に関しても計画的にしっかりと準備していく必要があるという現実は、多くの一般家庭と全く一緒です。
収入ではなく「支出の膨張」に目を向けろ
多くのシミュレーション記事は、「手取りがいくらだから〜」と収入の話から入ります。しかし、当ラボの分析では収入(手取り)は一旦度外視します。なぜなら、収入が増えても支出が増えれば意味がないからです。
重要なのは、まず、子供の成長と共に、支出(生活費)はどう推移していくのかという冷酷な現実を知ることからスタートすることです。
当ラボでは、前述の2025年に実施した独自調査をベースとして、各ステージにおける支出の推移を参考値としてまとめた上で、詳細な分析を行いました。これらは机上の空論ではなく、実際にその道を歩んだ先輩家庭の実績値から導き出されたリアルな記録です。現在のお子様の年齢に合わせて、未来の家計簿を覗いてみてください。
【ステージ①】0〜6歳(未就学児)時代
人生で一番の貯め時です。支出が最も少なく、ボーナスステージとも言える期間です。逆に言えば、ここで貯蓄のベースを作れなければ、将来の家計は非常に苦しいものになります。

【ステージ②】小学生時代
引き続き、人生での貯め時です。公立小学校に通えば、食費や習い事などの費用は増加するものの、まだ家計への負担は軽微です。中学受験の課金が本格化する前に、どれだけ蓄えられるかが勝負です。

※最大の注意点「学童の壁」
東京23区などでは、公立学童に入れず民間学童(月5〜8万円)を利用せざるを得ないケースが多発しています。この場合、貯め時は一瞬で消滅します。非常に重要な点なので、以下の記事をご参照ください。

【ステージ③】中学生時代
家計への負担が激増します。私立中学の学費に加え、成長期による食費の爆増や、部活・スマホ等の「見えない出費」がかさみます。毎月のキャッシュフローが赤字に転落する家庭も珍しくありません。

【ステージ④】高校生時代
授業料無償化でも重課金は止まりません。食費に加え、大学受験に向けた予備校費用などが重くのしかかります。中学生時代に劣らない出費が見込まれます。

独自調査をベースにした分析に基づくと、この支出カーブは統計データよりも遥かに急角度で上昇します。年収1,500万円あっても、この角度を見誤れば、18歳の時点で子供の大学資金が十分に準備できていないという事態に直面します。
大学費用は「1人1,200万円」が最低ライン
上記の支出増を耐え抜き、さらにその先の大学費用まで用意する。では、私たちは具体的にいくら用意すればいいのでしょうか?巷で言われる「大学費用は1人500万円」では全く足りないことは、ここまでの支出カーブを見れば直感的に理解できるはずです。500万円という数字は、あくまで「国公立・自宅通学」という最短ルートを通った場合のラッキーなケースに過ぎません。
教育資金デザインラボが提唱するゴールは明確です。子供1人あたり 1,200万円を目指してください。
これは、「私立理系への進学」「大学院への進学」など、子供が選びうる比較的お金のかかるルートを想定したリスク管理上の数値です。詳細は、以下の記事で詳しく解説を行なっております。

世帯年収900万でも「慶應理系」を完遂できる
「1人1,200万円なんて、厳しいなぁ……」そう感じる方もいるかもしれません。
ただ、当ラボの独自調査を通じて、世帯年収900万円前後でありながら、子供2人をしっかりと慶應義塾大学の理系(大学院含む)まで、奨学金なしで余裕で通わせている家庭も普通に存在します。
彼らは決して、過度な節約生活をしていたわけではありません。彼らが対処できた理由は、思考の順序が正しかったからです。
【勝てる家庭の思考プロセス】
- 現状把握 将来、「いつ」「いくら」の支出が見込まれるのかを具体的に把握する。
- シミュレーション そのゴール(1,200万円)に対して、適切な資産運用(新NISA等)を組み合わせれば、今の生活水準のままで届くのかを計算する。
- 意思決定(アクション) 生活水準は今のままで良いのか、それとも一時的に月数万円だけ切り詰める必要があるのかを、計算結果を見てから判断する。
多くの人は、この「1」と「2」を飛ばして、いきなり「3(節約)」から始めようとするから、出口が見えずに辛くなるのです。具体的なシミュレーションをしてみれば、実は過度な節約をしなくても、時間を味方につけた運用さえできれば、ゴールに届くことが判明するケースも多々あります。
まずは計算すること。 生活を変えるかどうかを考えるのは、その後で十分なのです。
【解決策】適切な投資を行えば十分に可能
これまで見てきた通り、子供が中高生になると支出は爆発的に増え、銀行預金だけでは家計が赤字に転落するリスクがあります。高年収世帯であっても、労働収入だけでこの荒波を乗り越えるのは至難の業です。
しかし、ここに投資(複利の力)という武器を加えると、景色は一変します。
次にご紹介するのは、中高生時代に毎月10万円を取り崩して家計を助けても、大学入学時に資産がほとんど減っていないという、驚愕のシミュレーションです。これは魔法ではありません。誰にでも再現可能な資本家としての教育費戦略です。
教育費カテゴリーの完結編として、以下の記事で、その黄金のロードマップを公開します。

新NISAを活用した資産運用の全技術
上記のシミュレーションは、教育資金デザインラボが総力を上げて提唱する、資産運用の全技術を活用しております。具体的には、全技術は以下の記事で詳細に解説しております。非常に奥が深い内容であるため、時間がある時にでも、全ての記事をしっかりと読んでみて頂きたいです。

最後に:あなただけの「勝ち筋」を描こう
教育費の正解は、一つではありません。年収、お子様の年齢、志望校、そしてご家庭のライフスタイルによって、最適なルートは異なります。
重要なのは、平均値に惑わされることなく、自分の家庭ならどうなるか?を具体的にシミュレーションし、1日でも早く準備を始めることです。
教育資金デザインラボの戦略を参考に、ぜひ、ご家庭においてもしっかりと考えて、計画的な投資スケジュールを立ててみてください。未来の不安は、計画することで予定に変えられます!
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