「オルカン積立が正解なのはわかった。でも、ずっと増配を続けている日本の優良企業の株って魅力的だよね?」 「学資保険に入れば『節税』にもなるし、やっぱり安心じゃない?」
積立投資に慣れてくると、必ずこうした**「浮気心」**が芽生えます。 特に高配当株は、歴史ある優良企業が多く、実際に長期保有で成功している投資家もたくさんいます。また、学資保険も「控除」というメリットを謳って販売されています。
しかし、結論から言います。 **「教育資金」**という一点において、これらをメインに据えるのはおすすめしません。
今回は、優良な高配当株や学資保険が、なぜあなたの教育資金作りにおいては**「足かせ」になってしまうのか。 メディアが伝えない「個別株の真のリスク」と「節税の不都合な真実」**について解説します。
吹き出し(会話パート)
夫(投資雑誌を読みながら): 「おい、この記事見てみろよ!『累進配当(減配しない)』を宣言してる超優良企業の特集だぞ。 株価も安定してるし、配当金で子供の塾代を払うなんて、憧れるよなぁ! それに学資保険も『生命保険料控除』で税金が安くなるらしいし、一石二鳥じゃないか?」
妻(冷静): 「…憧れはわかるけど、現実を見て。 その優良企業、18年間絶対に『不祥事』を起こさないって保証ある? それに『控除』って言っても、具体的にいくら安くなるか計算したことあるの?」
夫: 「うっ…計算はしてないけど、お得なんだろ?」
妻: 「それが『雀の涙』なのよ。 私たちは評論家じゃないの。18年後に確実に現金を最大化しなきゃいけない『親』なのよ。甘い言葉に惑わされないで。」
1. 誘惑その①:「高配当株」の罠

まず、高配当株投資についてです。 誤解のないように言っておきますが、「増配を続ける優良株」自体は素晴らしい資産です。老後の自分年金作り(配当金生活)としては非常に有効な戦略でしょう。
しかし、**「絶対に失敗できない教育資金」**においては、以下の2つの理由から不向きです。
① 「減配」と「暴落」のダブルパンチ
どれだけ過去の実績が良くても、個別株には常に**「業績悪化リスク」**がつきまといます。 もし、保有している高配当株が業績悪化で「減配(配当を減らす)」を発表したらどうなるでしょうか?
- 配当金が減る(インカムの減少)
- 失望売りで株価が暴落する(キャピタルの減少)
この往復ビンタを食らいます。 オルカン(全世界株式)なら、1社が倒産しても全体への影響は誤差(0.0…%)ですが、個別株に集中投資していた場合、資産が半減する可能性すらあります。 教育資金という「納期が決まっているお金」で、このリスクを背負うのはギャンブルです。
【鉄則】 個別株はあくまで**「なくなっても生活に困らない余裕資金(サテライト枠)」で楽しむものです。 子供の未来を背負った「教育資金(コア枠)」は、退屈でも「分散投資(オルカン)」**を徹底するのが親の責任です。
② 税金の先払い(複利効果の阻害)
もう一つは効率の問題です。 配当金が出るたびに、約20%の税金が強制的に引かれます。 10万円の配当が出ても、手取りは8万円。これを再投資しても、「最初から10万円まるごと再投資」されるオルカン(投資信託)には、18年後の資産総額でどうしても負けてしまいます。
2. 誘惑その②:「学資保険」の罠

次に、学資保険です。 「元本割れしない」「節税になる」という殺し文句で勧誘されますが、ここにも大きな落とし穴があります。
① 「生命保険料控除」なんて雀の涙
「年末調整で税金が戻ってきますよ!」というセールストーク。これを目的に加入する人がいますが、完全に本末転倒です。
一般生命保険料控除の上限は決まっており、所得税で最大4万円、住民税で最大2.8万円の控除(※所得による)です。 実際に安くなる税金は、一般的な年収の家庭なら**「年間数千円〜1万円程度」**に過ぎません。
**「年間数千円の節税」のために、18年間も資金を拘束され、インフレに負ける低利回り(0.5%程度)の商品にお金をロックする。 これは「お得」ではなく、「巨大な機会損失」**です。
② メディア推奨の裏にある「大人の事情」
それでもマネー誌やネット記事で学資保険が推奨されるのはなぜか? 答えはシンプルで、多くの無料相談サイトや雑誌は、保険会社からの**広告料(スポンサー料)**で成り立っているからです。
「オルカンがいいですよ」と言っても、金融機関はあまり儲かりません。 しかし、「学資保険がいいですよ」と言えば、手数料が入ります。 記事を読むときは、**「それは誰のためのアドバイスなのか?」**を常に疑ってください。
3. 教育資金は「退屈」に耐えた者だけが勝つ
高配当株の「楽しさ(配当・優待)」も、学資保険の「安心感(元本保証・控除)」も、あくまで**「親の感情」を満たすためのものです。 子供のための資金を最大化するという「結果」**には貢献しません。
教育資金作りは、F1レースのようなものです。 ゴール(大学入学)は決まっています。
- オルカン: 多少揺れるが、最高速度(非課税・複利)で一直線に走るマシン。
- 高配当株: 景色を楽しむために、いちいちピットイン(課税)したり、故障(減配)のリスクがあるマシン。
- 学資保険: 安全運転すぎて、制限時間に間に合わない軽自動車。
あなたが選ぶべきはどれでしょうか? 答えは明白です。「退屈なオルカンを、ただ黙って積み立てる」。 このつまらない行動こそが、子供の未来への最短ルートなのです。

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