【番外編】金庫と宝箱と遊び場と。証券口座を敢えて3つ使う理由

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⚠️ 記事を読む前の前提条件

  • この記事は、教育資金デザインラボ代表・西の個人的なコラムであり、当ラボの正式な見解ではありません
  • この記事では、筆者の個人的な失敗談と哲学を紹介します

「証券口座なんて、1つにまとめた方が管理しやすいじゃん」 「NISAも個別株も、全部楽天証券でいいでしょ?」

おっしゃる通りです。効率だけで考えれば、それが正解です。しかし、私は現在、あえて3つの証券口座を使い分けています。

理由はシンプルです。「私は意志が弱く、暴落に耐えられない人間だから」です。

今日は、私が過去にやらかした「2度の大きな失敗」と、そこから導き出した「自分の弱さをシステムで守るための、泥臭い3口座体制」についてお話しします。

目次

はじめに

失敗談を話す前に、私のバックグラウンドについて少し触れさせてください。

私は2016年まで、日系投資銀行(IBD)に在籍していました。ご存知の方も多いかと思いますが、この業界はコンプライアンスが非常に厳しく、インサイダー取引防止の観点から、社員による株の売買は事実上、禁止に近い状態でした。

そのため、当時の私は金融の最前線で仕事をしていながら、個人の資産運用に関しては、会社の確定拠出年金(DC)で淡々とインデックスファンドを積み立てるだけの日々を送っていました。

実は、現代ポートフォリオ理論(ハリー・マーコウィッツ氏が1990年にノーベル経済学賞を受賞した理論)に基づけば、これが正解であることは、当時の職務を通じて当然理解していました。皮肉なことに、会社の厳しいルールのおかげで、私は何も考えずに、理想的なインデックス投資を実践できていたのです。

2017年、解き放たれた「欲望」

転機は2017年。退職に伴い、私はその厳しい制約から解放されました。「これでようやく、一般の投資家と同じように、自分の判断で株が買える!」

知識は十分にありました。1990年代には既に結論が出ていたインデックスの優位性も、完璧に理解していました。

「自分はまぁ普通に勝てるだろう。」

そう高をくくって、意気揚々と個人の証券口座(楽天証券)で取引を開始しました。NISAも、優待株も、短期トレード用の銘柄も、全てを1つの口座で管理することにしました。しかし、その後に待ち受けていたのは、自身の心の弱さを突きつけられる出来事でした。

現実は失敗の連続

2017年にスタートしてから、1〜2年は、まずまずの運用成績で、十分に満足していました。しかし、運用の世界は常に波乱万丈です。当然の如く、私も波に呑まれていきました。

失敗①:2018年の世界株安(全てを1つの口座で管理)

2018年、世界的な株安が襲いました。当時、私は個別株のトレードも積極的に行っていたため、値動きをチェックしたり、損切り注文を出したりするために、毎日頻繁にアプリを開いてログインせざるを得ませんでした。

ここが最大の落とし穴でした。個別株の管理画面を開くと、同じ画面に並んでいるNISA(投資信託)の数字も、嫌でも目に入ってしまうのです。

本来、インデックス投資はほったらかしが鉄則です。見なくていいなら、見ない方がいい。しかし、個別株の世話をするために、私は毎日、NISAの成績を確認させられることになりました。

個別株の含み損が増えていくのを見て、メンタルが削られている状態です。ふと視線をずらすと、そこには毎日削られていくNISAの含み益がありました。

「あぁ、こっちの利益まで減っていく……」「一旦逃げて(売って)、楽になりたい」

本来なら見る必要のなかった数字を、強制的に見せつけられる日々。 個別株でパニックになっている脳は、正常な判断力を失っていました。

頭では分かっていました。「NISAは売るな」と。しかし、連日の暴落を目の当たりにするストレスに耐えかねて……私はついに、その売却ボタンを押してしまったのです。

「見る必要のないものを、毎日見てしまう環境」。 これがいかにマズいのかということを痛感しました。

失敗②:2020年のコロナショック(NISAと個別株を分けた時代)

この反省を活かし、私は体制を変更しました。NISAは別口座に隔離(楽天証券だけ)。そして、「株主優待目当ての長期保有銘柄」と「短期・中期保有の個別株をSBI証券で管理することにしました。

これでNISAは守れるようになりました。しかし、まだ甘かったのです。

2020年、コロナショックが到来しました。 SBI証券の画面は、真っ赤(含み損だらけ)になりました。

当時、私は長期保有で株主優待が貰える銘柄をいくつか保有していました。しかし、同じ口座内にある「短期売買の失敗銘柄」が暴落していくのを見て、パニックになりました。

「とにかく、キャッシュ(現金)ポジションを増やさなきゃ」 「これ以上、資産が減るのを見たくない」

その一心で、「長期保有と固く決めていたはずの優待銘柄」まで、ボタン一つで売ってしまったのです。 長期保有特典の権利も、そこで消失しました。

ここで私は悟りました。 「長期(優待)」と「短期(遊び)」ですら、混ぜてはいけないのだ、と。

結論:たどり着いた「3つの箱」戦略

これらの痛い失敗を経て、私は数年かけて、ようやく現在の結論にたどり着きました。 私の意志力では、マイルールを守ることは不可能です。だから、物理的に場所を分ける(システムで管理する)しかありません。

現在、私は以下の3つの役割(箱)を用意しています。

①【本気枠】開かずの金庫

老後と子供のための資金です。定期的な見直しの時を除き、「絶対に開けない」ことが唯一のルール。パスワードを忘れるくらいが丁度いい、完全放置の領域です。

②【楽しみ枠】宝箱

ここは長期保有目的の優待株などを入れて、優待の改悪などが起きない限り、滅多にログインさえする予定のない、「準・開かずの金庫」として活用するための箱です。

③【遊び枠】戦場

唯一、欲望を解放していい場所です。短期トレードも実験もここでやります。傷だらけになってもいいように、ここ以外には火の粉が飛ばないように隔離します。

あくまでも余剰資金で、「新NISA」と「長期保有目的に優待銘柄」以外は、全てここで管理します。結果的に、この口座だけ、毎日ログインしております。

ご参考までに、現在、私が保有している長期優待銘柄は以下の記事に書いてみました。興味のある方がいれば、読んでみてください。

【実践編】メンタル防衛システムの作り方

最後に、私が実践している「3つの箱」への具体的な割り当て(証券会社の使い分け)をご紹介します。 この組み合わせなら、それぞれの長所を活かしつつ、私の失敗を回避できるはずです。

①「金庫」には、マネックス証券

ここはクレカ積立の「還元率」と放置が重要です。クレカ積立のポイント還元が最強のマネックスを、NISA専用の金庫として設定しています。詳細は以下の記事をご参照ください。

② 「宝箱」には、楽天証券

優待検索のしやすさ、画面の見やすさは楽天が一番です。楽しむ用として割り切って使いましょう。

③ 「戦場」には、SBI証券 私はここを隔離施設として使っています。NISAや長期優待銘柄を危険に晒さないよう、短期・中期で保有する株は全てSBIで完結させます。

💡 補足:楽天とSBIは「逆」でもOKです

私は優待銘柄の検索のしやすさが好きで楽天を長期の優待銘柄保有口座にしていますが、これらはあくまで私の好みです。 重要なのはどの会社を使うかではなく、長期保有銘柄とその他を物理的に分けることです。

ご自身の使いやすさや好みに合わせて、②と③の役割は自由に入れ替えてカスタマイズしてみてください。

最後に:自分の「弱さ」を知ることから始めよう

意志の強い人や、相場観に優れた人であれば、こんな面倒なことをする必要はないでしょう。1つの口座でスマートに管理できるはずです。

しかし、少なくとも私は違いました。2度の失敗を経て、自分は分離しないとダメだ!と認めたことで、ようやく資産形成が安定しました。

読者の皆様にも、それぞれの最適解があると思います。 もし、あなたが「自分は暴落が来ても絶対に動じない」という自信がないのであれば……。

とりあえず、私のような3口座体制(金庫・宝箱・遊び場)を真似してみてはいかがでしょうか。手間はかかりますが、心の平穏は間違いなく手に入りますよ。

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この記事を書いた人

教育資金デザインラボ代表。元日系投資銀行(IBD)出身のFP兼宅建士。
「お金の世界は嘘ばかり」という信念のもと、ポジショントークを排除した『数字に基づく資産形成術』を発信中。早大理工・英国大学院修了。都内で2児(2歳・0歳)を育てるパパ経営者。

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