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世間に広がる「2,000万円」の根拠が怪しい理由(最初に知っておくべき真実)
- 老後資金として「2,000万円が必要」というニュースを聞いて、不安になった方は多いでしょう。
- しかし、結論から申し上げます。「老後2,000万円」という数字は、すべての人に当てはまる、絶対的な目標額ではありません。
- この記事では、FPとしてなぜこの数字に縛られるべきではないのか、その根拠を徹底的に論破します。そして、世間の声に惑わされることなく、あなたにとっての真の目標額を計算する方法を提示します。
1. 2,000万円の数字は「架空の裕福なモデル」から算出された
1-1. 発端は金融庁の報告書と「平均値の罠」
- 2,000万円問題は、2019年6月に金融庁が公表した報告書が発端です。
- この報告書は、無職高齢夫婦の平均的な収支に基づき、公的年金収入と支出の差額が毎月約55,000円不足すると算出しました。
- この不足が30年間続くと仮定した結果、約1,980万円、つまり「2,000万円が不足する」と試算されました。
1-2. 決定的な矛盾!この夫婦は既に「2,484万円の貯蓄」を持っていた
- 【決定的な矛盾】 このモデルケースの夫婦は、実は平均値として既に2,484万円の貯蓄を持っていることが前提となっていたという事実をご存知でしょうか?
- 貯蓄がある夫婦の**「余裕のある支出」を元に計算されているため、貯蓄がない人、支出を抑えている人には全く当てはまらない「平均値の罠」**であることを認識してください。
- 「2,000万円が不足する」のではなく、「2,484万円の中から2,000万円を取り崩して生活している」という意味合いが強かったのです。
2. 支出の内訳を徹底検証!なぜ「2,000万円」がデタラメなのか
2-1. 高額すぎる「食費」と「外食・調理食品」の平均値
- モデルケースの食費は64,444円と高額です。この内訳には、**外食、酒類、調理食品(惣菜など)**といった「なくても生活できる費用」が平均的に含まれています。
- 節約ポイント: 食費を自炊を中心にしたり、外食を控えたりするだけで、この支出は大きく抑えられます。**「6万円超えの食費は老後の必須経費ではない」**と断言できます。
2-2. 支出の約3割!「共用・娯楽費」の不必要な贅沢
- モデルケースの支出で最も多い項目の1つが、「教養娯楽、その他消費支出」で約8万円近くです。
- この費用は、生活に必要な通信費や光熱費とは別に、旅行、趣味、交際費などに使われている費用であり、現役世代よりも多い可能性があります。
- 支出の約3割を占めるこの費用は、**「必須ではない贅沢」**です。これを計画的に抑えるだけで、老後資金の不足額は大幅に減ります。
3. 2,000万円問題は既に「消滅」している(最新データ)
3-1. 家計調査報告の変化:不足額は年々減少し、現在は約800万円に
- 問題の発端となった家計調査報告のデータ自体が変化しており、2017年に約2,000万円だった不足額は、最新の2021年のデータでは約800万円にまで減少しています。
- 補足情報: 2020年には特別定額給付金やコロナ禍の外出自粛の影響で、一時的に不足額が55万円まで激減した特殊事情もありました。
3-2. 800万円でも「心構え」を変える必要はない理由
- 不足額が減ったとしても、「年金だけに頼って暮らす」という考え方を改め、自分から資産形成に取り組む必要性は変わりません。
- 心構えを変えるべき理由:
- 人生100年時代と言われる長寿化
- 企業退職金制度の縮小・減少
- 年金支給額の減少予想
- 物価高によるインフレリスク
- 2,000万円という数字は忘れても、**「老後資金は自助努力で備える」**という心構えは必要です。
4. 【出口戦略の第一歩】あなたにとっての「真の目標額」を計算する
4-1. Step 1: 確定している「公的年金」と「退職金」の受給額を確認する
- まずは**「ねんきんネット」**などで公的年金の見込み額を確認しましょう。これが老後の収入の土台です。
- 勤めている方は、就業規則で退職金の目安額を把握してください。
4-2. Step 2: 必要な「老後の生活費」を算出する
- 老後の生活費は、平均値ではなく、あなたのライフスタイル(住居費、趣味、旅行など)に応じて異なります。
- 現在の支出を把握した上で、老後の月々の**「生活費(最低限)」と「ゆとり費(娯楽)」**を分けてシミュレーションすることが重要です。
4-3. Step 3: 不足額を埋める「目標貯蓄額」を明確化する
- 収入(年金)と支出(生活費)の月々の差額に、**老後期間(例:30年間)**を掛けて、最終的な目標貯蓄額を計算します。
- この計算結果こそが、あなたの老後を支える**「真の目標額」**です。
まとめ:老後資金の不安を解消する「FPに相談する」という選択肢
- 「2,000万円はデタラメ」であり、重要なのは**「自分にいくら必要なのかを知り、足りない分をどう補うか」**という対策を立てることです。
- 資産寿命を延ばすためには、iDeCoの出口戦略や資産の賢い取り崩し方といった専門的な知識が必要です。
- 個別のシミュレーションや具体的な対策はFPの役割です。ぜひ、あなたらしい安心できる老後資金計画を一緒に立てましょう。
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