「年収900万円あれば、都内で子供2人を私立に行かせるなんて余裕でしょ?」 そう思っていませんか?
現実は残酷です。AFP認定者として数多くのシミュレーションを行った結果、この属性こそが**「最も家計破綻しやすい危険地帯」**であることが判明しました。
当サイト「教育資金デザインラボ」では、あやふやな平均値ではなく、**特定の「標準モデル」**を設定し、1円単位まで解像度を高めたシミュレーションを行います。 これから全ての記事のベースとなる、我が家の「家計の前提条件」をここに定義します。
ターゲットとなる「標準家族モデル」
当サイトが想定する、最もリアルな「都内の4人家族」のスペックです。
- 家族構成: 夫(33歳)、妻(33歳)、長男(0歳)、次男(0歳 ※双子または2歳差想定)
- 居住地: 東京都内(23区外周部〜近郊エリア)
- 職業: 共働き会社員(退職金あり・定年60歳→再雇用想定)
- 教育プラン:
- 中学校から「私立中高一貫校」へ進学
- 大学は「私立理系」へ進学(院卒まで想定)
- 目標資産: 教育費総額 4,000万円 + 老後資金
FPの視点: なぜこの設定なのか? それは「中学受験」と「理系大学」という、人生で最もお金のかかるルートをあえて選ぶことで、あらゆるリスクを織り込んだ「最強の生存戦略」を作るためです。
収入のリアル(手取り月47万円の真実)
「年収900万円」の額面を信じてはいけません。実際に使えるお金(手取り)はもっと少ないのです。
【収入の内訳】
- 世帯年収: 900万円(夫550万円 + 妻350万円)
- 毎月の手取り給与: 約450,000円(夫婦合算)
- 児童手当: 20,000円(月1万円×2人 ※新制度適用)
- 東京都018サポート: 10,000円(月5,000円×2人)
- 【毎月の使えるお金】: 合計 480,000円
【ボーナスの扱い】
- 年間手取りボーナス: 約120万円
- ルール: **「生活費補填は30%(月3万円)まで」**を鉄の掟とする。
- 残り70%は、固定資産税・更新料・家族旅行で消えるため、教育費の計算には入れない。
結論: 私たちが毎月使える予算は、全ての手当とボーナス補填を合わせても**「月51万円」**が限界です。
支出のリアル(東京で生きるための固定費)
次に、息をしているだけで出ていく「固定費」を定義します。ここを甘く見るとシミュレーションが破綻します。
- 住居費:150,000円(管理費込)
- 都内で3LDK(子供部屋確保)を借りるための最低ライン。
- ※持ち家の場合も、修繕積立金や固定資産税を含めると同等になります。
- 車:保有しない
- 都内・駅近に住む代償として、自家用車は手放します。
- カーシェアやレンタカーで対応。
- 通信費: 格安SIMを活用(ただし、iPhone端末代積立を含む)
- 生活防衛資金: 300万円(現金として常に確保)
このモデルより「年収が高い/低い」方へ
当サイトの読者は、必ずしもこの条件に当てはまらないかもしれません。しかし、この「900万円モデル」は万能なベンチマークになります。
- 年収1,000万円以上の方へ: おめでとうございます。このモデル通りの生活を守れば、**差額はすべて「純粋な投資の上積み」**になります。生活レベルを上げず、さらに盤石な資産を築いてください。
- 年収800万円以下の方へ: 工夫が必要です。家賃を12万円に下げる、中古スマホを使う、特待生を狙うなど、**「支出のダウンサイジング」**を組み合わせることで、このモデルに追いつくことが可能です。
まとめ:覚悟は決まりましたか?
これが、私たちがこれから18年間戦い抜くフィールドの「初期設定」です。
- 収入: 月51万円(手当フル動員)
- 支出: 家賃15万円スタート
- 敵: 教育費4,000万円
一見、無理ゲーに見えるこの条件を、**「オルカン積立」と「時期ごとのメリハリ」**だけで完全攻略するロードマップを、次の記事から公開していきます。
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