「東京都なら、私立高校の授業料は実質無料になるんでしょ？」
「高校生になったら、やっと家計が楽になる…」
そう期待している方が多いですが、残念ながらその期待は裏切られます。
中学校（月8万円赤字）を耐え抜いて高校生になっても、家計の赤字額は**「1円も減らない」**からです。
今回は、年収900万円世帯が私立高校（理系コース）に通わせた場合の**「リアルな月次収支」を公開します。
キーワードは、「無償化の限界」と「予備校（塾）の重課金」**です。
【結論】高校生の収支：授業料は浮くが、他が爆発する
まずは現実の数字から。
東京都の助成金により授業料負担は減りますが、それを相殺して余りある「新たな支出」が発生し、結局**「月8万円の赤字」**は継続します。
リアル月次収支シミュレーション（高校生）
私立中高一貫校（高校課程）に通う、最も標準的な家計簿です。
| 項目 | 金額 | 内訳・詳細 |
| 【収入】合計 | 510,000円 | 手取り合計（変更なし） |
| 給与＋手当＋ボ | 510,000円 | 給与45万＋児童手当等＋ボ補填3万 |
| 【支出】合計 | 590,000円 | 中学生時代と同水準の高止まり |
| (A) 固定費 | 205,000円 | 中学生より＋5,000円 |
| 家賃 | 150,000円 | 変更なし |
| 光熱・通信・保険 | 55,000円 | スマホ・ＰＣの通信量増など |
| (B) 生活変動費 | 215,000円 | 食費のピーク到達 |
| 食費・日用品 | 145,000円 | 中学生比＋5千円。ここが天井 |
| 小遣い・交際・服 | 50,000円 | 交際費・被服費の大人化 |
| バッファーA | 20,000円 | スマホ買替・デジタル費 |
| (C) 教育費 | 150,000円 | 授業料減だが予備校費増 |
| 学校納入金 | 30,000円 | 授業料は無償だが施設費等はかかる |
| 予備校・塾代 | 100,000円 | 理系2科目の相場（高2〜3） |
| 定期・部活費 | 20,000円 | 通学定期・部活遠征費 |
| (D) 予備費 | 20,000円 | 受験費用積立 |
| 受験料など | 20,000円 | 高3の受験料（30万〜）への備え |
| 【月次収支】 | ▲ 80,000円 | 赤字額は変わらず |
なぜ「無償化」なのに赤字が減らないのか？
「授業料実質無償化（東京都）」の恩恵は確かに大きいです。しかし、それ以上に増えるコストがあります。
1. 「無償化」の範囲は狭い
東京都の制度で助成されるのは「授業料（年間約48万円）」のみです。
私立高校には、授業料以外にも多くの支払いがあります。
- 施設維持費・冷暖房費
- ICT教育費・端末代
- 修学旅行積立（海外など）
- 制服・指定用品の買い替えこれらは全額自己負担であり、月平均3万円程度は学校への支払いが発生します。
2. 理系予備校の「重課金」
ここが最大の誤算ポイントです。
理系大学（特に難関大）を目指す場合、学校の授業だけでは足りず、高校2年生頃から「大手予備校」に通うケースが大半です。
- 英語・数学（数III）： 必須科目。
- 理科（物理・化学）： 現役合格の鍵。これらを予備校で取ると、月謝は5万〜10万円に跳ね上がります。さらに夏期講習・直前講習を含めると、学校の授業料が浮いた分など一瞬で消え去ります。
3. 食費・生活費の最終形態
高校生男子は、大人と同じかそれ以上に食べます。
また、スマホのデータ通信量、友人とのお付き合い（ディズニー、カラオケ、打ち上げ）、被服費（ブランド指定）など、子供の世界の「物価」も上昇します。
食費・日用品費14.5万円は、決して贅沢ではなく「必要最低限」のラインです。
大学受験という「隠れボス」
さらに、シミュレーション表の「予備費」で少し触れましたが、高校3年生の冬には**「大学受験料」**という特大の出費が待ち構えています。
- 共通テスト： 1.8万円
- 私立理系大学： 1校につき3.5万円
- 滑り止め確保： 入学金納入（20万円〜）
平均して30万〜50万円の現金が一瞬で動きます。
月8万円の赤字に加えて、最後にこの出費があるため、高校時代も資産の取り崩し（月8万円）を止めることは許されません。
まとめ：中高6年間で「570万円」の赤字を耐え抜け
結論として、年収900万円世帯における私立中高一貫校ライフは、以下のようになります。
- 中学生： 月8万円の赤字（授業料負担）
- 高校生： 月8万円の赤字（予備校・食費負担）
形は違えど、「6年間ずっと毎月8万円が不足する」という事実は変わりません。
この6年間累計の赤字額は約570万円。
これを「ボーナスでなんとかしよう」などと考えてはいけません。
0歳からの積立投資で作った資産を、計画的に取り崩して（月8万円売却して）、この赤字を埋め続ける。
これ以外に、家計を破綻させずに理系大学へ送り出す道はありません。
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