「投資の成功は、出口(売却)で決まる」
多くの人は「いつ買って、どう増やすか」ばかり考えますが、**「いつ売って、どう生活費に換えるか」**の方が、遥かに難しく、重要です。
特に教育資金は、**大学の入学金や授業料など、支払い期日が固定された「避けられない費用」**です。暴落していたとしても、現金化して支払いを実行する必要があります。
今回は、教育資金を確実に支払うための**「取り崩しの技術」と、固定された支払いに備える「防御バケツ戦略」**について解説します。
1. 資産を切り崩す2つのタイミング
資産の取り崩しは、大きく分けて2つのフェーズがあります。
フェーズ1:中高時代(12〜18歳)の定額売却
- 目的: 月8万円の赤字を補填すること。
- 方法: **「定額売却」**が最も簡単です。毎月きっかり8万円分を自動で売却し、銀行口座へ入金されるよう設定します。
- 利点: 売却額が一定なので、家計管理が楽になります。株価が高い時も安い時も、機械的に同額を売却し続けます。
フェーズ2:大学入学時(18歳)の学費支払い
- 目的: 年間約200万円の一括支払いに対応すること。
- 課題: 支払い期日が固定されているため、市場が暴落していても売却を止められないというリスクがあります。
2. 資産を守り抜く「防御バケツ戦略」
教育資金という目標には期限があるため、「暴落だから待つ」という選択肢は許されません。
そこで登場するのが、**「防御バケツ戦略(バケツ戦略)」**です。これは、老後資金で使われる手法を、教育資金向けにアレンジしたものです。
仕組み(3つのバケツ)
- 【バケツ1:現金】(期限1〜3年後)
- 内容: 銀行預金など、3年分(約600万円)の学費を常に現金またはそれに近い形でプールしておきます。
- 用途: 暴落が起きた最初の3年間の学費は、このバケツから支払います。これにより、オルカンを暴落時に売らずに済みます。
- 【バケツ2:株式】(期限4年後以降)
- 内容: メインの「オルカン」です。資産増加のエンジンです。
- 用途: 暴落が落ち着いた4年目以降の学費を支払います。
- 【バケツ3:老後資金】(期限20年後)
- 内容: 大学時代に積み立てるiDeCoなど、触らないお金。
暴落が来ても安心な理由
大学入学時に大暴落が来ても、バケツ1の現金があるため、オルカン(バケツ2)を無理に売却する必要がありません。オルカンは市場回復を待つ間、含み損を抱えたまま静かに運用を続けることができます。
この戦略こそが、私たちが最初から**「現金300万円」**を別枠で確保していた理由に繋がります。
3. 「定額売却」が資産を長持ちさせる
中高時代の定額売却(月8万円)は、資産の寿命を延ばす上でも重要です。
定額売却であれば、株価が高い時に多めに売却し、株価が安い時に売却量を減らす「定率売却」と違い、管理がシンプルです。 **「株価の状況に関わらず、必要な額を機械的に売る」**ことで、資産の目減りを最小限に抑える効果が期待できます。
この「定額売却」と「防御バケツ」を組み合わせることで、教育資金の出口は鉄壁となります。
まとめ:売却こそがクライマックス
投資は「買って寝かせる」のが9割ですが、最後の「売却」こそが最も緊張する瞬間です。
- 中高時代: 月8万円の定額売却を設定する。
- 大学入学時: 暴落に備え、現金バケツ(3年分)を用意する。
この最終防衛ラインを理解することで、固定された支払い期日という難関を乗り切ることができます。
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